キリンジの愛のCodaを考察

音楽

春に別れを歌っているんでしょうか。夏の恋はついに冬を超えられなかったようです。
冒頭、夏の彼女を思いながら傷心の旅に出る様子が描かれています。
歌詞の中には何度となく、「激しく求めた記憶」。灼け付く日差し ひるむ背中 立ちつくした 頬をつたう汗をぬぐい 踏み出せば。彼女に対してひるんでいた自分が、汗をぬぐい踏み出した夏。

自分を無様な塗り絵のような人生と表現しながら、
それでも彼女を思い、胸の傷から夕陽が溢れて、今はただ春をやり過ごすだけ。

別れは、愛のしずくのように飛び散った。
今はただ春をやり過ごすだけ。

春は虚ろで浅い眠りが続き、何か区切りをつけるには良い季節なのかもしれない。

無様な塗り絵のようなあの街も
花びらに染まってゆくのだろう。
夏を追いかけて
赤に浸す 青が散る 夜に沈む 星がこぼれたと表現しています。赤は情事、青は成功。愛に戻るチケットを破る意気地も勇気もない。
孤独の友として今でもあなたは美酒を探しているの?
雨に負けぬ花になるというの?
無様な塗り絵のような街でさえ花びらに染まるというのに

春の儚さ、残酷、移ろいやすさなどが余すことなく表現されていると思います。ぼくはこの曲を聞くととても愛されている気持ちになります。キリンジもきっと矛盾を抱えながら、必死に芽吹こうとする春が好きなんだと思います。夏を愛することは簡単ですが、季節から愛されることはもっと重要です。春は混沌としていると思います。冬の寒さが残ったまま覚醒し、どこか朧げ。詩を読もうにも頭に入ってこない。燃え上がった恋を思い出すだけ。いったいぼくはどうすればいいんだと思いながら眠るけど、熟睡できない。そんなやりきれない思いと風を感じながら、

今はただ春をやり過ごすだけ

印象的な歌詞が数多く心に響きます。「今はただ春をやり過ごすだけ」「無様な塗り絵のような人生」「赤に浸す 青が散る 夜に沈む 星がこぼれた」グラビアアイドルの壇蜜さんは最期に聴きたい曲と言っています。ぼくもこの曲を1日1回以上聞かないと調子が悪いですw キリンジには数多く名曲がありますが、春の朧気な別れの曲がこんなにも自分を引きつけて話さないとは思いませんでした。コード進行はシンプルなようで難解だそうです。美しいメロディーですね。春に相応しい。キリンジは新しいレーベルを立ち上げたようで、新アルバムも楽しみです。ゆっくりキリンジを楽しみましょう。

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